【山 域】残雪期の仙丈ヶ岳を歌宿から日帰り
【日 付】2014年 5月 3日
【時 間】歌宿バス停 06:55 大平山荘 08:05 北沢峠 08:15 ~ 08:30
2195m 09:00 二合目 09:05 大滝の頭 10:05 ~ 10:15 六合目 10:45
小仙丈ヶ岳 11:20 ~ 11:30 八合目 11:45 仙丈ヶ岳 12:30 ~ 12:35
八合目 13:00 小仙丈ヶ岳 13:20 六合目 13:30 大滝の頭 13:40 ~ 13:50
二合目 14:15 2195m 14:25 北沢峠 14:45 ~ 15:05
大平山荘 15:15 歌宿バス停 16:10
【メンバー】単独行
(地図や写真をクリックすると大きいのが別ウィンドウで表示されます。でもIEは?)
(地図はhtcスマホの 山旅ロガー のGPSログです。)
![ルート図](./barn/20140503/map20140503senjyou_s.gif)
ルート(地図をクリックで拡大表示します)
昨年(2013年)の無雪期に始めた南ア・3000m峰 アリバイ登頂の山。
3000m峰に登ったという事実が欲しいだけのアリバイ登頂の山なので、
登山スタイルは、無雪期の登山道を日帰りで往復するか、小屋泊で縦走するか、
というごく普通の山歩きばかりだった。
無雪期の登山道歩きではここのオバカンの山の趣旨とはちょっと違うので
記録を全く書き残していなかった。
(もし興味があるようでしたらヤマレコのサイトで「アリバイ登頂」で検索してみて下さい。)
その南ア・3000m峰 アリバイ登頂の山で、一番登り易いはずの仙丈ヶ岳だけ登れずに終わってしまった。
いくらアリバイ登頂の山とは言え、夏に北沢峠からの往復なんてさすがに行く気にもならないし、
さりとて何時までも「未登」で残しておきたくもない。
と言う事情からこの残雪期に登らせてもらうことにした。
元々は、昨年の11月、12月と2回とも失敗した地蔵尾根から登る計画にしたが、
まだ標高2000m以上は、雪が消えていない。
トレースのない可能性のある地蔵尾根を行けるか?と自問すると、自信のない返事しか出てこない。
それで、バスで歌宿まで運んでもらう計画に急遽変更して登ってきた。
ただし、バス利用だと時間制約が出てくる。
初発バスで行って終バスで帰るにしても歩行時間は9時間強しかない。
休憩無しの夏のコースタイムでも10時間強かかる。
この歳で、雪道をコースタイム以下で歩くのはかなり厳しい。
![大滝の頭付近から見る北岳](./barn/20140503/DSC02069_s.jpg)
大滝の頭付近から見る北岳
やっと視界が開けるようになった
北岳の北面、こちらから見るといい形してますね
この季節のバスの終点「歌宿」から北沢峠までは、舗装道路で除雪は終わっている。
時間短縮のために雪道を歩くハイカットシューズはザックに入れて、普段履き慣れたローカットシューズで軽快に歩いていく。
急いでいるので何人もの人を追い抜いていく。
そんな私を追い抜いていく強者もいる。スゴイ!
大平山荘から北沢峠への登山者用ショートカットコースには踏み跡はあるがなんか潜りそうなので車道を行く。
北沢峠で、ハイカットシューズに履き替え、オーバーズボンの変わりにレインウェアを履き、ロングスパッツも付ける。
しかも、ノーアイゼンで頑張るなんてこともせずに、チェーンアイゼンを履いていく。
![森林限界付近から見る北岳](./barn/20140503/DSC02070_s.jpg)
森林限界付近から見る北岳
沢筋は雪で繋がっているし、
雪崩の心配は無さそうだし、
登り易そうですね
仙丈ヶ岳は、3000mの標高を誇るし、深田久弥の百名山の一つでもあるし、バスのアクセスや小屋も充実しているので雪山入門者には打ってつけの山だ。
しかも、北面も南面も雄大なカールで、スキーやボーダーにも人気のバーンを提供してくれている。
入山者は多いので、トレースはバッチリ出来上がっている。
大滝の頭までワンピッチで上がってきた。
この先、森林限界になりそうなので12本歯アイゼンに履き替え、手にはピッケルを持った。
![六合目から見る小仙丈ヶ岳](./barn/20140503/DSC02073_s.jpg)
六合目から見る小仙丈ヶ岳
この辺り、右の藪沢からの風が強い
昨夜は北沢峠付近で泊まって早朝から登った人がパラパラ降りてくる。
このコース、地図から受ける印象よりも傾斜のある尾根ですね。
![小仙丈ヶ岳から本峰方面を見る](./barn/20140503/DSC02078_s.jpg)
小仙丈ヶ岳から本峰方面を見る
小仙丈ヶ岳からあと標高で200m
だと思っていたが、距離は結構あるな~
しかもチョコチョコ起伏もある
小仙丈ヶ岳まで来るとあとは半ピッチぐらいかと思っていたが、まだまだ先はある。
結構頑張って登って来たと思うけど、このまま行って、終バスに間に合うのかしら?
ちょっとヤバイかも・・・
どうする?
前進を12時半まで頑張って、山頂に届かなくても終バスに乗って帰るか?
終バスは諦めても、今日は山頂を踏んで帰るか?
思えば、昨年7月に、農鳥・間ノ岳・北岳と越えて最後の日に沢から仙丈に登る予定が北岳止まりになってしまった。
11月と12月に2回、地蔵尾根から試みたが2回とも届いていない。
これで4回目。
もう仙丈に振り回されるのはイヤだ。
今日は、終バスを逃がしてもきっちり山頂まで行く。
そう、腹に決めた。
![本峰はしつっこく遠いな~](./barn/20140503/DSC02080_s.jpg)
本峰はしつっこく遠いな~
だいたいどれが本峰なの?
そもそも、ここから見えてるの?
小仙丈ヶ岳の先の急登で一人の人が降りてこられた。
同じく、今朝バスで来た人だという。
その人は、荷物を担いでいては間に合いそうにないので荷物はデポして往復してきたと、言う。
確かに、森林限界直前にザックはあった。
じゃあ私も一段上に上がった平らな所で、ザックをデポしよう。
アリバイ登頂の証拠作りにGPSのスマホとカメラのみをポケットに入れて空荷で往復することに。
さすがに空荷だと軽く歩ける。
けれど登りになると途端に歩行スピードは落ちるし、どうも雪の山で「空荷」というのは気持ちが悪るく、嫌いだ。
決して人には勧められない。
![鳳凰三山](./barn/20140503/DSC02082_s.jpg)
鳳凰三山
いつか登に行くからね
その時は微笑んでネ
![北岳と間ノ岳](./barn/20140503/DSC02081_s.jpg)
北岳と間ノ岳
今年から日本の第二高峰と第三高峰
![本峰と藪沢カール](./barn/20140503/DSC02083_s.jpg)
本峰と藪沢カール
右側のどちらかが本峰だろう
手前の岩肌の見えている方であって欲しいな
仙丈小屋への分岐から先は、きつくはないが起伏が多い。
これ、帰り、スピード上がるかしら?
![仙丈ヶ岳](./barn/20140503/DSC02086_s.jpg)
スキーやボードの人が荷を降ろしている。
あそこが仙丈ヶ岳の山頂だろうか?
そうであって欲しい。
先行していたスキーやボードの人が荷を降ろしている。
あそこが山頂であってくれればいいが・・・
もう、引き返しリミットの時間を気にしていないから時計は見ない。
ただ頑張って前進するのみ。
幾つもの起伏を越えねばならないし、少し痩せた所もある。
けれどピッケルを使うような所はない。
![仙丈小屋](./barn/20140503/DSC02091_s.jpg)
仙丈小屋
沢筋の真ん中に建っているですね
雪崩?そんなの南アにはないよ、ってことなんでしょうね
![今越えた小ピークを振り返る](./barn/20140503/DSC02089_s.jpg)
今越えた小ピークを振り返る
なんかいいとこ登って来たように写っているでしょ。
![南ア3000m峰仙丈ヶ岳 登頂 アリバイ写真](./barn/20140503/DSC02094_s.jpg)
南ア3000m峰仙丈ヶ岳 登頂 アリバイ写真
山スキーの方に撮っていただきました。
ありがとうございます。
![仙丈ヶ岳 山頂](./barn/20140503/DSC02093_s.jpg)
仙丈ヶ岳 山頂
ウォ~着いたー
着いた~~~
時間は? 引き返しリミットの12時30分、ジャスト。
ウォーッ、これで終バスに乗れる!!
南ア3000m峰アリバイ登頂の山が終わったと言う喜びよりも、これで終バスに間に合うという方が嬉しい。
(爺さん=オバカン が写っている写真の拡大サービスはありません・笑
何?そんなの見たくもないって?・納得)
![大仙丈ヶ岳](./barn/20140503/DSC02097_s.jpg)
大仙丈ヶ岳
なるほど、立派な名前をもらうだけのいい形してますネ。
山頂で写真を撮ったらさあ帰ろう。
天気はいいし、風もほとんど無く、暑くも寒くもない。
もっとゆっくりしたいがそんな時間はない。
さあ、駆け下ろう。
![小仙丈ヶ岳を見下ろす](./barn/20140503/DSC02098_s.jpg)
小仙丈ヶ岳を見下ろす
左奥は、甲斐駒ヶ岳
登ってこられる登山者、スキーヤーまだまだ居られます。
下降と言っても暫くは起伏がある。
登りになると一気にペースダウンしてしまう。
途中でザックを拾い、テルモスの紅茶を一口飲んだらまた駆け下る。
![北沢峠こもれび山荘](./barn/20140503/DSC02102_s.jpg)
北沢峠こもれび山荘
さようなら
さあ、歌宿バス停まで6km強、残り1時間10分。
絶対にバス乗るぞー!!
雪の径の下降は速い、とガンガン下ってきたが、2~30m程の登り返しの2195mがきつかった。
その先は、ところどころ雪が消えているので右か左へ残雪を追ってルートを取るが、気温も上がって踏み抜きも多い。
意外と時間を食ってしまった。
北沢峠でローカットシューズに履き替えた。
明日も裏穂高へ入りたいので、雪や汗で濡れたオーバミトン、ロングスパッツ、12本歯アイゼンを少しでも乾かそうとザックにぶら下げて歩く準備が出来たら、最終バスまでもう残り1時間10分しかない。
これは急がなくっちゃ。
一生懸命歩いてそしてバスに間に合わないなんてことになったら最低だもんな。
訳の分からないかけ声出しながら歩く、歩く。
そして5分前、何とかバスに間に合った。
このままは乗り込めない、むき出しのアイゼンだけはザックに直してバスに乗った。
フーッ、間に合った~
【 南ア・3000m峰 アリバイ登頂 】
何時登ったかだけを整理しておこう。 2013.06.09 失敗 塩見岳 日帰り 本谷山の少し先まで 2013.06.30 登頂 聖岳 日帰り 便ヶ島(タヨリガシマ)からピストン これが第一座目 2013.07.08 登頂 塩見岳 日帰り 2013.07.21 登頂 農鳥岳 小屋泊 未明に大門小屋を出発 2013.07.21 登頂 西農鳥 ↓ 2013.07.21 登頂 間ノ岳 ↓ 2013.07.21 登頂 中白根 ↓ 2013.07.22 登頂 北岳 - この日、小仙丈沢から仙丈ヶ岳へ登る計画で居たが取り付もせず 2013.09.19 失敗 赤石・荒川三山 小渋川から試みたが数日前の台風で一回目の徒渉も出来ず 2013.09.28 登頂 東岳 小屋泊 いわゆる悪沢岳 未明に千枚小屋を出発 2013.09.28 登頂 3033峰 ↓ 東岳の北の無名ピーク 2013.09.28 登頂 中岳 ↓ 2013.09.28 登頂 前岳 ↓ 2013.09.28 登頂 3030峰 ↓ 小赤石岳の北の無名ピーク 2013.09.28 登頂 小赤石 ↓ 2013.09.28 登頂 3044峰 ↓ 小赤石岳の南の無名ピーク 2013.09.28 登頂 赤石岳 - 2013.11.24 失敗 仙丈岳 避難小屋泊 前夜の23日に余裕で避難小屋に入るも体調崩し撤退 2013.12.01 失敗 仙丈岳 日帰り 小屋泊が無理ならと日帰りを試みるも2400m付近で敗退 2014.05.03 登頂 仙丈岳 日帰り 北沢峠からピストン 9回の山行で、5回は登頂できているが、4回は失敗している。 勝率は5割程度しかない。 たかが一般登山道の山ではないか、と初めは高をくくっていたが結果はこの有様だった。 確かに難しい山はない。 だけれど山一つ一つどれもがデッカイし遠い。 このデッカさに慣れないと、南アの山は登れない。 そして、慣れると「強い登山者」になれる。 今回、これで南アの3000m峰は全て登った。 南アから解放されて正直なところホッとしている。
【 深田久弥の百名山 】
この仙丈ヶ岳は、深田久弥の百名山の一つになっている。 これで今までに登ったことのある百名山は、 無雪期 + 有雪期 = 百名山の登った山の数 の式では、 24座 + 24座 = 41座 となった。 昨年の南ア3000m峰アリバイ登頂の山で、無雪期の山の数が一気に増えたが、今回で有雪期の山の数とタイに戻した。 元々、夏はルートを楽しみ山頂は下山途中とかでない限りわざわざ登ることはなかった。 冬は逆に山頂がゴールの計画が多かったので深田久弥の百名山の登頂の数も自然と有雪期が多かった。 ところで、南アには他にも 甲斐駒ヶ岳・鳳凰・光岳 の三座がある。 甲斐駒は40年程前の正月に登っている。 残るのは 鳳凰と光岳。 いつか雪の季節に登る機会があれば登ってみたい。